【登辞林】(登記関連用語集)


[か]

株券喪失登録 喪失した株券が善意取得されてしまうのを防ぐため、株券を喪失した株主が、会社に対して株券喪失登録簿に記載すべき事項の記載を請求することによりなされる登録(会社法第223条、会社法施行規則第47条)。株券喪失登録がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して1年を経過した日に無効となり、株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければならない(会社法第228条)。

株券喪失登録簿 株主が喪失した株券に関する事項を記載又は記録する登録簿。株券発行会社は、株券喪失登録簿を作成し、次の事項を記載又は記録することを要する(会社法第221条)。
1.株券を喪失したことにより登録の請求をする者にかかる株券の番号
2.株券を喪失したことにより登録の請求をする者の氏名(名称)・住所
3.株券を喪失したことにより登録の請求をする者にかかる株券につき、株主又は登録株式質権者として株主名簿に記載され又は記録されている者の氏名(名称)・住所
4.前1〜3の事項につき、記載又は記録した日(株券喪失登録日)

株券提供公告

株券の電子化 株券保有に伴う発行・流通・管理にかかるリスク・コスト削減を図り、株式取引の決済の合理化・迅速化を図るため、株券を電子的に記録し、データで管理するようにするもの。平成21年1月5日、「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年6月9日法律第88号)」により、上場会社の株券が全て電子化された。

株券保管振替制度 株券の流通の円滑化を目的として、株券等の保管及び振替に関する法律(昭和59年5月15日法律第30号)により定められた制度。証券会社等が自己の保有する株券や株主から預かっている株券を保管振替機関に預託し、株式の譲渡や担保に差し入れた場合の処理を、株券そのものの受け渡しではなく、証券会社や保管振替機関の口座における振替によって行うというもの(会社法第128条第1項参照)。なお、当該制度は、株券が発行されているのを前提とする制度であるため、平成21年1月5日施行の「株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年6月9日法律第88号)」により、上場会社の株券が全て電子化されたことに伴い廃止された。(→混蔵寄託

株式移転 一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることにより、既存の株式会社を完全子会社とし、新たに設立する株式会社を完全親会社とする手続(会社法第2条第32号)。株式移転により完全子会社となることができるのは、株式会社のみであり、完全親会社として設立することができるのも、株式会社のみである。株式移転設立完全親会社は、その成立の日に、株式移転完全子会社の発行済株式の全部を取得する(会社法第774条)。特例有限会社については、株式移転に関する規定は適用されない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第38条)。

株式交換 株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることにより、既存の株式会社を完全子会社とする手続(会社法第2条第31号)。 株式交換により完全子会社となることができるのは、株式会社のみであり、完全親会社となることができるのは、株式会社及び合同会社である。株式交換完全親会社は、効力発生日に、株式交換完全子会社の発行済株式(株式交換完全親会社の有する株式交換完全子会社の株式を除く。)の全部を取得する(会社法第769条第1項、第771条第1項)。特例有限会社については、株式交換に関する規定は適用されない(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第38条)。(→簡易株式交換)(→略式株式交換

株式・資本区 株式会社の登記記録において、「1単元の株式の数」「発行する株式の総数」「発行済株式の総数並びに種類及び数」「資本の額」「数種の株式の内容及び数」「株式の譲渡制限に関する規定」「株主名簿管理人の氏名又は名称及び住所並びに営業所」等が登記される区。

株式の譲渡制限に関する規定 株式会社の発行する全部又は一部の株式の内容としての定めで、譲渡によって株式を取得する場合に株式会社の承認を要するとするもの(会社法第107条第1項第1号、第108条第1項第4号)。発行する全部の株式の内容として譲渡制限に関する規定を設ける定款の変更を行う株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。株式の譲渡の承認機関は、取締役会設置会社では取締役会、取締役会非設置会社では株主総会であるが、定款の定めにより、代表取締役等他の機関とすることもできる(会社法第139条第1項)。(→非公開会社)(→公開会社

株主名簿 株式会社が作成することを要する株主の名簿で、次の事項を記載又は記録しなければならない(会社法第121条)。
1.株主の氏名(名称)・住所
2.各株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
3.株式を取得した日
4.株券の番号
株式会社は、その本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に、株主名簿を備え置かなければならない(会社法第125条第1項)。
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができず、株券発行会社においては、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載又は記録しなければ、株式会社に対抗することができない(会社法第130条)。
会社法施行前の有限会社の社員名簿は、会社法施行後は、株主名簿とみなされる(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第8条第1項)。

株主名簿管理人 株式会社に代わって株主名簿に関する事務を行う者(会社法第123条)。会社法施行前の改正前商法において規定されていた、株式についての名義書換代理人とほぼ同様の事務を行う。株式会社が株券発行会社であるときは、株券喪失登録簿に関する事務も取り扱い(会社法第222条)、新株予約権を発行している場合においては、新株予約権原簿に関する事務も取り扱う(会社法第251条)。
株主名簿管理人の資格については、会社法その他の法律に規定はなく、通常、信託銀行、又は、専門の証券代行会社が務めている。

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